継続は力なり・定期購読も力なり

コロナ禍で教育系YouTuberの動画をチラホラ見るようになった。英語講師は別として、それ以外のいろんな科目のアドバイスをする人たちの動画を見ててちょっとだけ感じるものがあった。それは、

「あっ、学生時代、もう少しだけ英語をやっとけばよかったかな・・・?」というオーラである(単なる自分の思い込みかもしれないが)。でもそれをほのめかしているものがいくつかある。

動画に出てくる人たちは受験で見事に成功を勝ち取った立派な経歴の持ち主なのだが、「学生時代にEconomistやForeign AffairsやNatureなどを読んでいました、横文字で情報収集する習慣が社会に出てからも役に立っています。例えばNewYorkTimesでは安倍さんと富士フィルムの蜜月関係を暴き、アビガンを使うと奇形児が生まれてくることを指摘しています。日本の新聞はだんまりです」と、実際に英語が役に立ったエピソードを紹介する動画になかなか巡り合わない。受験でストップしてるものがほとんどである。
どうすれば大学受験で英語の成績が上がるか、どんな教材を使えばいいか、という話がYouTubeで中心となっているのはやはり大学に入ってから本格的に英語でなにかするうえで、語彙力が最大のネックとなっているからではないだろうか。大学では語彙力がないと扉が開かないのだ。

ところで、「マスコミにお金を払うのは馬鹿げている、無料のもので十分だ」という意見があるのは百も承知だが、それは朝日とか東スポといった類のもので、Economistに関してはちゃんと国連や専門機関が発表するデータをもとに分析を行っているのでそれなりに信用できると思うのである(特にEconomistやFinancial Timesのコロナ感染者数や死亡者数のグラフなどは秀逸である。日本の新聞のようにグラフやデータもなしにいきなり「今日は500人だ!緊急事態宣言だ!」と突拍子もなく感情的に煽るようなことはしない)。東洋経済やプレジデントや日本版のエコノミストやダイヤモンドのように特定企業のゴシップや就職ランキングといった内輪ネタも皆無である。山形浩生氏曰く、科学欄も秀逸で購読しておく価値はあるとのこと。ただ、Asia欄を見てると少し反日なところがあるのは残念であるが。(英語学習者に人気のTIME誌はかなりリベラルなのがちょっと・・・である)

 

話を戻すと、大学受験の英語では構文、文法、語彙、英作、リスニング、読解、とかなりの時間をつかって各スキルを鍛えることになったが、それでも実社会で活用しようと思うと語彙が圧倒的に不足している現実に直面する。大学受験の英語では語彙が足りなすぎるのである。

英検1級でも足りない。慶應大学に受かるのが英検準1級くらいだとして語彙数は7000ほど。英検1級で15000くらい。洋雑誌を読むには体感では2万以上はいる。小説なら3万以上。7000の語彙では、Economistの記事を3ページくらい辞書を引きながら読んで終わりになると思う。まずは圧倒的な語彙、そして記事を理解するための世界史と地理の背景知識が不可欠だ。では語彙は何を使って増やせばいいか。有名どころでいくと、1100 Words you need to knowBasic Word List(もしくはそれの邦訳版である、最強の英語ボキャブラリー1700語 語彙力を極める!)などがある。それらが難しければ、まずは英検1級と英検準1級の「でる順パス単」がおすすめである。自分が使ってたころは例文が載ってなかったが、最近のものはちゃんとある。

難易度でいくと、
でる順パス単準1★
でる順パス単1級★★★
1100 words★★★★
最強のボキャブラリー★★★★★
といったところ。


単語を覚えるのは極めて地味な作業である。そこで気分転換にカフェを使ったり、図書館を使ったり、英検1級アプリを使ったり、万年筆を使ったり、とにかく総力戦でかかればなんとか攻略できる。単語との戦いは実は受験だけではなく、大学生になってからも待っている。大変ではあるが、英検やTOEICを目標にするとモチベーションを保つ上では有効だ。そしてEconomistも定期購読か、そこまでいくにはちょっと勇気がいる場合は本屋でまず1冊買って図書館か喫茶店で読んでみる。一日にそのような時間を3時間くらい確保したかどうかで卒業時に絶大な差が出る。そしてその力は社会人になってから様々な局面で助けてくれるようになる。学生時代に語彙を詰め込まないと、その後英語を継続させるのが大変だし、そもそも本屋で売っている洋書、洋雑誌にまったく手が出ない。まさに英語は大学に入るための道具でしかなかったことになるのだ。

英語は勉強しなくてもすぐに力が落ちることはない。しかし、ある日を境にガタッと落ちる。大学1年生の頃は英語の教科書の訳を手に入れようとする人はあまりいなかったが、2年生になると激増する。それは、学習をストップさせたがために、タイムラグとともに力が急降下したからである。英語を実際に社会に出てから武器にするには継続しなくてはならないのである。20年前は「英語だけできてもダメだぞ」と言われたが、いつの日か言われなくなった。「どうすれば英語ができるようになるんだ」と国全体が迷走している。答えは語彙と定期購読による継続学習である。幼児教育ではなく、義務教育が終わってからの自発的な学習がすべてである。まずは単語帳で英単語に出会っておき、そこから英字新聞や洋雑誌の多読を通じて、何度も繰り返し同じ単語に出会う。その過程で少しずつ体に残っていく。コツコツ継続すれば必ず覚えられるので安心してほしい。

 

PEACE OUT.

 

 

 

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